ごうけいほうもんしゃすう

震災当日の気仙沼、仙台の小学校避難所での記録

3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクト 公開サロン @考えるテーブル 2012年5月26日

語り手:村上美緒/進行・聞き手:佐藤正実さん(NPO法人20世紀アーカイブ仙台)

■火が上がる気仙沼

火が上がる気仙沼

2011年3月11日 気仙沼市鹿折地区

[村上さん(以下、村)]私は気仙沼出身で、この写真は当日気仙沼にいた母が撮りました。鹿折地区は津波も来て、火災も発生して、気仙沼の中でも大変な場所でした。この地区には母の実家があって、おばあちゃんを助けに行ったんですが、道路が混んでて、もう下も火事で、これ以上進めないって時に、止まって撮った写真だそうです。

■津波と火災の後

津波と火災の後

2011年3月12日 気仙沼市鹿折地区

[村]これは伯父が翌日撮った写真です。伯父は、鹿折地区でおばあちゃんと住んでました。写真の真ん中後ろに写ってる船は、今、そのまま残すか、撤去するか話題に出ている船ですね。

■みんなでみる新聞

みんなでみる新聞

2011年3月13日 仙台市立小松島小学校

[村]これは小松島小学校の避難所で撮った写真です。妹と住んでいたマンションがちょっと、耐震構造がなってなかったので、安全の確認がとれないということで、大家さんから、近くの小学校に避難してくださいと言われていました。それから三週間くらい、小松島小学校で避難所生活をしていました。新聞は、限られた数が来て、みんなで回し読みしていた状態です。外にも貼り出して、近所の人も見えるように、という風に。毎日貼り替えていました。

■ここは何処

みんなでみる新聞

2011年3月13日 仙台市立小松島小学校

[村]これは赤十字の車で、福井県のナンバープレートだったんですよ。避難所に避難していた高齢の女性がちょっと具合悪くしたようで、運ばれるところです。不謹慎かなと思いながらも撮りました。仙台市内にはいろいろな土地の名前が入ったナンバープレートをつけた車がいっぱい走ってましたよね。すごいな、ここは何処なのかなと思っていました。

■気持ちも記録

気持ちも記録

2011年3月13日 仙台市立小松島小学校

[村]これは梅です。震災があって雪が降って、とぼとぼ歩いていたんですが、もう春は来ないんじゃないかっていうくらい、絶望みたいな感じだったんですよ。それがもう、ある日避難所の校庭をお散歩していたら梅の花が咲いていて、あぁ時間は流れているんだなっていうのを感じました。

[佐藤(以下、佐)]この写真は写真集の「キヲクのキロク」の中には載せていないのですけど、多分伝わらないっていうかね、わからない。春が来た、やっときたんだっていう気持ちがすごく分かって。ただこれを2・3行のキャプションではとてもじゃないけど伝えきれないな、というのがあって使わなかったんですが。写真に村上さんの気持ちっていうか、そういったものがよく出てるんだろうという風に思って。気持ちのことも含めて記録していかなきゃいけないことなんだろうなと思います。難しいんですけど、記録の仕方としては。

■ ブランコからの風景

ブランコからの風景

2011年3月13日 仙台市立小松島小学校

[村]赤十字のトラックがあって、子どもたちが遊んでいる。地震がなかったら後ろにこんなトラックもいなかったし、それから、子どもたちが見ている向こう側の校庭には、たくさん車が駐車されているんですよ。参観日があったみたいにずらっと並んでいて。だから子どもたちは、普段の小学校の姿と、この今一週間以上も校庭に車が停まっている駐車場と化した校庭を見て、何を考えているのかなと思って撮った写真です。

■瞬間伝言板

瞬間伝言板

2011年3月13日 仙台市立小松島小学校

[佐]これはあのメッセージボードですね。小学校の体育館、避難所になってた体育館の入口に置いてあったホワイトボードです。

[村]妹の名前もどっかにあるんですよね。友達とのやり取りが。なかなか体育館で会えなかったようで、やっぱりメッセージボードにメッセージを残してというような。定期的に消されては書かれていて、ぐちゃぐちゃになってました。でも、何日か後に見たときには、消されてました。

*この記事は、2012年5月26日にせんだいメディアテークの考えるテーブルで行われた『3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクト公開サロン「みつづける、あの日からの風景」』で、村上美緒さんがお話された内容を元に作成しています。


当日の様子はこちらからご覧いただけます。
《考えるテーブル レポート》→http://www.smt.jp/thinkingtable2012/?p=462

 

【3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクトとは】
このアーカイブ・プロジェクトは、東日本大震災で被災した宮城県内各市町の震災直後の様子、および震災から定期的に定点観測し復旧・復興の様子を後世に残し伝えるために、市民の手で記録していくものです。これから市民のみなさまから記録者を募っていくとともに、その情報交換・活動の場を公開サロンとして定期的に行っていきます。これらの定点観測写真は、NPO法人20世紀アーカイブ仙台とせんだいメディアテーク「3がつ11にちをわすれないためにセンター」で記録・公開し、市民参加で震災を語り継ぐ記録としていきます。

 

NPO法人20世紀アーカイブ仙台
公式Web:http://www.20thcas.or.jp/

【考えるテーブルとは】
人が集い語り合いながら震災復興や地域社会、表現活動について考えていく場を「考えるテーブル」と題して、せんだいメディアテーク、7階スタジオに開きます。トークイベントや公開会議、市民団体の活動報告会など多様な催しを行っていきます。

センターについて

せんだいメディアテークでは、市民、専門家、スタッフが協働し、東日本大震災とその復旧・復興のプロセスを独自に発信、記録していくプラットフォームとして「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(わすれン!)を開設しました。

3がつ11にちをわすれないためにセンター
(せんだいメディアテーク 企画・活動支援室内)

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