ごうけいほうもんしゃすう

荒浜・藤塚住居調査 井戸02-蓋

●井戸/蓋

 

《円井筒》

:鉄板蓋

井戸は使用されなくなっても残しているのかもしれない。
神宿る井戸にゴミが入り不浄にならないように、人が転落しないように蓋をしている。

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年1月26日

 

《円井筒》

:鉄板蓋

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年4月26日

 

《円井筒》

:鉄板蓋

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年1月13日

 

《角井筒》

:ステンレス蓋

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年1月24日

 

《円井筒》

井戸:コンクリート管
:ステンレス蓋

使用されなくなっても井戸は蓋をされ、敷地内に残されている。
比較的新しい井戸で、使用されていた期間も短かったのかもしれない。
実用性が優先され、井戸へのこだわりは少ない。
しかし地域の人たちの心の中には語り継がれてきた井戸への扱いに対する畏怖が存在する。

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年1月12日

 

《円井筒》

井戸:コンクリート管
:コンクリート蓋

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年1月12日

 

《角井筒》

:鉄板蓋

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年1月26日

 

■詳細解説「私と荒浜・藤塚地区とのかかわり」髙橋親夫


私は震災後まもなく若林区荒浜・藤塚地区に入りました。その後、数ヶ月にわたって何度かこの地を訪れ、行くたびに茫然とその光景を眺めていましたが、やがて破壊された家財や建物が取り除かれてゆき、その下から荒浜や藤塚地区のそれまでのたくさんの住居跡が現れました。この地域に地層のように残されていた生活時間や文化の重なりは、佇んでいた私にたくさんのことを語りかけてきました。私は自分の生い立ちと重ねながら、残された「家」の声を聞き取ることに夢中になっていきました。

それぞれの住宅を訪問するたびに、居住していた方の、家を建てた時の喜びを思いました。残された住居跡に長年の夢や希望やアイディアが詰まっていることに気づき、当時の人たちに思いを馳せたのです。残されていたものから、施主の期待に応えようとした、職人たちの心意気を感じ取ることができました。それぞれに個性があり、二つとして同じ家はありませんでした。そして、その後そこで暮していた家族の生活の時間を思いました。

残されていた住居跡には、もう生産されていない材料や今は行われていない職人技が見られました。特に目を引いたのは、かつて盛んに行われていた左官技術の数々です。工場生産品に取って代わられた現代の住宅建築では行われていないものばかりで、できる職人もほとんどいなくなってしまった手仕事の良さが見て取れました。この地域には他のどの地域よりもそれが残されていました。

住居跡からは、残されていたものが限られていたにもかかわらず、海側にはこの地が豊かで農業と漁業の兼業生活の長い歴史があったことや、それに続く西側には新しい住宅地が広がり、自然豊かなこの地域に発展の息吹があったことを知りました。

私はこれらの生活跡がやがて復興工事と共に消滅してしまうことを思い、荒浜や藤塚地域の方々のくらしの証としての調査と、記録を始めたのです。

センターについて

せんだいメディアテークでは、市民、専門家、スタッフが協働し、東日本大震災とその復旧・復興のプロセスを独自に発信、記録していくプラットフォームとして「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(わすれン!)を開設しました。

3がつ11にちをわすれないためにセンター
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