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荒浜・藤塚住居調査 井戸01-仕上げ

●井戸/仕上げ

 

《角井筒》

井戸:モルタル鏝押え
仕上げ:デザインタイル張り

井戸の側面にはアクセントとして1点だけのデザインタイル貼りが行われていた。
この地域の豊かさと美意識の印。
これらのタイルはほとんど現在は販売されていないのではないか。

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年1月11日

 

《円井筒》

仕上げ:角モザイクタイル

撮影地区:荒浜
撮影日:2011年12月16日

 

《多角形井筒》

井戸:灰墨モルタル金鏝押え仕上げ
仕上げ:部分磁器タイル張り

井戸の側面に張られているタイルが何ともモダンなデザインで、斬新である。

撮影地区:藤塚
撮影日:2012年7月13日

 

《角井筒》

井戸:灰墨(松煙墨)モルタル金鏝押え
仕上げ:磁器タイル張り

井戸は生活に欠かせない大切なもので、神宿るものとして扱われた時代。
左官職人の技も生きていた時代。
このタイルも左官が仕事の一つとして張ったのだろう。
棟梁という親方が尊敬されて、憧れとしてあった時代の遺産である。

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年1月12日

 

《角井筒》

井戸:灰墨(松煙墨)モルタル金鏝押え
仕上げ:デザインタイル張り

半分コンクリートに埋まったデザインタイルと井戸の中の塩ビパイプがこの井戸の長い歴史を物語る。
震災前までは使われていた。
洗車や野菜の洗浄、屋敷周りの庭木への散水、畑への給水などに利用されていたのだろうか。
荒浜ではたくさんの井戸が生活に利用されていた。

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年3月20日

 

《角井筒》

井戸:コンクリート打ち放し
仕上げ:デザインタイル張り

すべてが四角形。大きくコンクリート色でとても硬い感じがするが、長く大事に使いたいという実利性が高い。
以前からの井戸に井筒を新しくしたのか、作られたのは比較的新しく、風化はあまり見られない。
水道水の使用が主となって尚、井戸水の利用を目的としたのか。

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年1月12日

 

《角井筒》

井戸:灰墨モルタル仕上げ
仕上げ:磁器タイル張り

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年3月20日

 

《角井筒》

井戸:灰墨モルタル仕上げ
仕上げ:デザインタイル張り

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年3月20日

 

《角井筒》

井戸:灰墨モルタル鏝押え
仕上げ:小口タイル(四枚)張り、中寒水石洗い出し仕上げ、帯塗装り

撮影地区:荒浜
撮影日:2012年1月11日

 

■詳細解説「私と荒浜・藤塚地区とのかかわり」髙橋親夫


私は震災後まもなく若林区荒浜・藤塚地区に入りました。その後、数ヶ月にわたって何度かこの地を訪れ、行くたびに茫然とその光景を眺めていましたが、やがて破壊された家財や建物が取り除かれてゆき、その下から荒浜や藤塚地区のそれまでのたくさんの住居跡が現れました。この地域に地層のように残されていた生活時間や文化の重なりは、佇んでいた私にたくさんのことを語りかけてきました。私は自分の生い立ちと重ねながら、残された「家」の声を聞き取ることに夢中になっていきました。

それぞれの住宅を訪問するたびに、居住していた方の、家を建てた時の喜びを思いました。残された住居跡に長年の夢や希望やアイディアが詰まっていることに気づき、当時の人たちに思いを馳せたのです。残されていたものから、施主の期待に応えようとした、職人たちの心意気を感じ取ることができました。それぞれに個性があり、二つとして同じ家はありませんでした。そして、その後そこで暮していた家族の生活の時間を思いました。

残されていた住居跡には、もう生産されていない材料や今は行われていない職人技が見られました。特に目を引いたのは、かつて盛んに行われていた左官技術の数々です。工場生産品に取って代わられた現代の住宅建築では行われていないものばかりで、できる職人もほとんどいなくなってしまった手仕事の良さが見て取れました。この地域には他のどの地域よりもそれが残されていました。

住居跡からは、残されていたものが限られていたにもかかわらず、海側にはこの地が豊かで農業と漁業の兼業生活の長い歴史があったことや、それに続く西側には新しい住宅地が広がり、自然豊かなこの地域に発展の息吹があったことを知りました。

私はこれらの生活跡がやがて復興工事と共に消滅してしまうことを思い、荒浜や藤塚地域の方々のくらしの証としての調査と、記録を始めたのです。

センターについて

せんだいメディアテークでは、市民、専門家、スタッフが協働し、東日本大震災とその復旧・復興のプロセスを独自に発信、記録していくプラットフォームとして「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(わすれン!)を開設しました。

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