ごうけいほうもんしゃすう

仙台市東部の2011年3月11日〜4月12日の日記(3)3月13日〜25日

「崩落した3月」私の体験した東日本大震災



3月13日(日) 晴れ 最高16.5℃ 最低マイナス1.5℃

朝から高砂市民センターで避難所運営の支援を始めました。約900名の避難者を収容していました。各部屋はもちろん、廊下、ロビーまであらゆる場所に避難した人たちが毛布を敷いて休んでいました。既に市民センターには、入り口付近に4台の仮設トイレが設置してありました。次々と民間会社から食糧や飲み物、その他の支援物資が、突如として差し入れられてきました。事務所の窓口は避難者名簿がまだ整理されていなかったので、訪問者の対応に追われていました。次々と避難者が館内に入ってきました。事務所の職員はてんてこ舞いで、それはまるで野戦病院の様相を呈していました。 

次女家族が塩釜からわが家に避難してきました。電気の無い生活が続いていました。妻と次女家族は仏間に布団を敷いて休んでいました。一日中各避難所と町内の対応に追われていた私は、ひとり居間で寝ました。


3月14日(月) 曇り 最高19.6℃ 最低2.3℃

朝6時、自転車で高砂小学校の避難所へ向かいました。その後、高砂市民センターへ戻り、運営支援に入りました。
高砂市民センターの避難所は、未だ混乱している最中でありました。沿岸は壊滅し、家族や親族、知人を失った人たちや、停電で生活ができない避難所の周辺の人たちも含めてたくさんの人たちが避難していました。

居住スペースとなった1階のホール。

同じく居住スペースとなった2階の会議室。

建物に入ってすぐの、1階ロビー。

午後、中庭で炊き出しが行われました。

 

関係各所との調整により、北福室第一、高砂駅前、高砂向田の3町内が高砂市民センターの避難所運営に専念することになり、町内会長が集まって下打ち合わせを行いました。

・炊事、運搬を各町内会で行うこと。支援要員約5名で行い、輪番制とする。トイレ掃除とゴミ搬出は避難者輪番制をつくり、必要な道具を調達する。
・プロパンガスの燃料が間もなく枯渇するので、炊事するのに支障をきたす状況下にあり、入手情報を集めてほしい。
・混乱の中での周辺の情報と支援物資の情報と避難者の情報収集に努める。
・地域の特性として農家がまだ残っているので、米などの食糧提供が期待できる。
・避難者のグループ化を行う必要あり。
・炊き出しの輪番制は①高砂駅前→ ②北福室第一→ ③高砂向田とする。食事は朝夕の2回。
・食事時間:朝10時(集合時間830分)夕17時(集合時間1530分)炊事場所は防災センター。

この日、病院に避難していた友人夫妻も貸家の自宅の壁が壊れ、電気がまだ来ていないので、我が家に宿泊することになりました。こうして和田の叔父たち家族や私たちも含めて4世帯が住むことになりました。

 

3月15日(火) 雨 最高7.2℃ 最低5.0℃

高砂市民センターへ550分到着。窓口で避難者の安否確認が多く、対応に追われる。
第一回避難所会議を開催。

〈議事録・情報・その他のメモ〉
・食事運搬は地域とボランティアで行う。
・打ち合わせ時に翌日の食事予定が分かれば地域での人員が確保しやすい。
・トイレの清掃とごみ運搬当番は避難者の中から順番制でお願いしたい。清掃用具が必要。
・プロパンガス提供の情報収集をする。
・避難者名簿作成(地域ごとに)

  

3月16日(水) 曇り 最高5.3℃ 最低0.4℃

〈避難所リーダー会議〉
・家庭内の食糧が尽きはじめており、食事だけ求めて来る人たちが増えてきた。
・新たな避難者の受け入れは行わない。ただし蒲生、港、西原、和田、中野新町、白鳥地区の避難者は優先的に受け入れる。(館長より)
・ルール違反者は避難所を退去させる。避難所に宿泊しない食事だけの人たちは受け入れない。(館長より)
・自宅に電気と水の供給が出来た方は重度避難者の方に場所を譲ってほしい。
・高砂駅前周辺は昨夜点灯。

館長は災害発生以降、避難所で仮眠する生活が続いており、避難者からも身体を気遣う声が上がっていました。自宅に戻って休むよう事務所の皆さんで説得しましたが、なかなか受け入れてはいただけませんでした。
館長と自宅を津波で失った市職員のお二人から、我が家で宿泊をしていただくことに同意を得ることができ、2階の娘の部屋で休んでいただきました。

 

3月17日(木) にわか雨 最高1.7℃ 最低マイナス2.7℃

550分避難所へ出勤。

〈避難所リーダー会議〉
・国道45号線北側の福室の電気が回復したので、自家用米60㎏を北福室郵便局裏の精米機で精米し、避難所へ支援物資として提供。
・福室の三浦様より精米60㎏支援物資として提供いただく。
18日朝食準備:高砂駅前町内会当番、夕食:北福室第一町内会当番
・かぜ薬調達を要する。
・ドッグフードは必要の要請があれば提供してください。
18日朝食のメニュー:ウインナーソーセージ2本、わかめスープ(カップ)、バームクーヘン、ミカン1個 炊き出し担当:高砂駅前町内会

 

3月18日(金) 快晴 最高5.7℃ 最低マイナス4.1℃

〈避難所リーダー会議〉(現在避難者356名)
・今朝寒かったので毛布の追加希望があれば提供したい。
・インフルエンザが発生した場合は保健センターで受け入れる。
・炊き出し(牛丼、カレーライス、豚汁)夕食時15時~17
・トイレ掃除、ゴミの搬出当番の担当範囲と順番表を作成し、3か所に掲示。朝6時半ラジオ体操、745分より場内一斉清掃と当番はトイレ清掃を行う(トイレットペーパー交換まで)など毎日のサイクルを決め掲示。

 

3月19日(土) にわか雨 最高14.2℃ 最低マイナス0.8℃

〈避難所リーダー会議〉
13時衣類の配布:男物 女物 子供用と分けてあります。11品で家屋を失った方を対象にして行います。
・夜間寝たばこをしている人を見つけたので、退去を命じます。(館長)→館内に禁煙表示
・今日ぐらいで地域に電気がつく予定となっていますので、港、蒲生、西原、和田以外の方は自宅への移動を考えてください。(館長)
・牛丼炊き出し:今日は16時開店。
・癒しのために館内に音楽を流す。

 

320日(日) 曇りのち雨 最高12.5℃ 最低4.0

〈避難所リーダー会議〉
・コーナーに衣類がありますので、ご自由にお取りください。
・仙台市避難者カードは21日のリーダー会議まで回収する。
・避難者に苛立ちがあり、気に障るような話題や大きな笑い声などに配慮してほしい。
・受付の向かいの階段のピンク電話のところに5台の公衆電話(携帯電話)を設置しました。15分以内。使用時間は7時~19時。
・おむつ・ミルク・衣類など必要としている他の避難所に物資を回す。
・昨夜電気が回復したので電気機器の活用をすべきである。掃除機、コピー機、電子レンジ、エレベーター、放送設備、テレビなど。
・札幌市より医療チーム5人応援に来ているので紹介。

避難場所の現状
1階:児童館……八幡+荒浜+出花+大代+田中+中野+白鳥(計23名)
    ホール……高砂(54名)、福室(35名)、その他(6名)
2階:会議室……蒲生屋敷+牛小屋(計70名)
    和室(2)……蒲生(計36名)
    調理実習室……蒲生+西原+高松(計33名)

今夜からわが家は、私たちの他に叔父たちの家族1世帯のみとなりました。

 

321日(月) 曇り 最高18.4℃ 最低4.7

〈避難所リーダー会議〉
・牛丼は今日で終了し、明日はラーメンの炊き出し。
・今日の炊き出しのカレースープラーメン(1730分~18時)は、その前に使用した牛丼容器を捨てないで持っているようにお願いします。
・外での飲酒をやって館内に入るのはやめてほしい。
・ホール消灯21時。各部屋の消灯はリーダーに任せる。廊下(半分)22時。屋外トイレは節電の為1時消灯。
・誓渡寺中野幼稚園送迎付き入浴サービスは抽選で今日から始めます。
・肌着の支給は家屋を失った人を対象に、必要な方に必要なだけを支給するため、年齢、身内関係などのグループリストを活用。

 

322日(火) 晴れ 最高9.1℃ 最低3.1

朝5時半頃避難所へ行って、午前中休ませていただくことを告げる。午後避難所へ復帰。

〈避難所リーダー会議〉
・避難所に放置自転車の活用として宮城野区役所から20台提供されました。
・電気が回復したので、高齢者の為のエレベーター活用を提案し、点検のお願いする。使用方法、管理に当たっては、子供たちの悪戯使用防止のため、内線電話による事務所への連絡方法で電源を入れることになった。

 

323日(水) 晴れ 朝寒い 最高6.4℃ 最低1.1

・今日の夕方には、精肉店から肉40㎏提供により地元被災者調理の焼肉の炊き出しが行われた。
・保健センターからの要請で、避難所の女性の病人を私の軽トラックで東北厚生年金病院へ届ける。

 

324日(木) 曇り 最高7.3℃ 最低マイナス1.5

今朝高砂市民センター避難所へ6時。

〈避難所リーダー会議〉
・グループ別避難者名簿に年齢と同世帯の再調査。(家屋を失った方への下着などの配布のため)
・誓渡寺中野幼稚園入浴サービスは23日で終了。ステラパーク26日限定で送迎なしの入浴サービス。午前中女性定員30名、午後定員30名の伝達。
・カップヌードルミニの外部サービス。13時半頃の伝達。
・東北厚生年金病院からの医療派遣は23日で完了し、必要の際は電話での要請となる。
・プロパンガスが無くなり、各方面へ調達依頼。→プロパンガスボンベ、宮城野区役所からの連絡で入手。
・鶴巻小学校から明日入所する予定の避難者の為の毛布をホールに積んであるが、勝手に持ち出さないように。これは学校の授業再開に向けて、避難所として使用していた学校施設を開放する動きによるものである。
・罹災証明については、区役所の固定資産税課が窓口である事。

 

325日(金) 曇り 夕方から小雨 最高6.3℃ 最低マイナス1.1

今朝は久しぶりにゆっくりと7時半に高砂市民センター避難所へ行く。

〈避難所リーダー会議〉
・被災者へはがきの無料配布と郵便物の料金免除希望者募集案内と午後配布について。
・炊き出し当番について、町内会主体から避難者主体運営までの移行スケジュール及び事務所とグループの仕事の区分について提案があった。これは炊き出し支援をしている3町内の支援者から、自分の家庭の大変さを抱えながらいつまで支援をしなければならないのかという苦情が出てきたことによる。
・医師会・看護師会からの通達があり、311日の震災後に東北厚生年金病院を受診し、医療費、薬代を支払った方は払い戻すので、領収書を持って換金してくださいとの伝達。
・通電に伴い子どもの遊び時間を相談。21時までとする。
28日午後、歯科医師が当避難所を巡回予定。

今日の避難所リーダー会議で一番の仕事は、3町内会による炊き出し支援を、避難者の方々の自主運営に委ねる案を説明し、認めてもらうことにありました。会議の中で特に質問もなく承認され、明日26日より各班から2名ずつ炊き出しに参加していただき、29日の朝食をもって町内会炊き出し支援を終了することになりました。

19時から高砂向田町内会の集会所で、平成23年度の町内会総会の件について、役員会議を開催。予定通り410日に開催することになりました。

 

参考:仙台市宮城野区高砂周辺の地図(クリックすると拡大します)

 

20248月22日記事公開]

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