大川の記憶

次女みずほのこと


2014年8月11日

今日はシンサイミライ学校という交流学習に参加し
県内外の中学、高校、大学生と一緒に
長面地区と大川小学校に行きました

長面(ながつら:大川地区の東、海に面した地区)は
何もかもなくなっていました

長面はお祭りが賑やかで、
娘が6年生のときにせがまれて一緒に行きました
震災前に長面に行ったのはそれが最後

初めてここに立ったような
そんな錯覚に陥り
案内をするはずが
しばらく言葉が出ませんでした

地盤沈下で至る所が冠水し
どこに何があったのか思い出せなかったからです

夏休み
自転車を走らせた海水浴場に続く道も
同級生の家や
店も、体育館も、電信柱も
何もない
瓦礫さえもない

やがて誰も知らなくなるのだろうか
ここに町並みがあったなんて

「記憶の中にしかない」風景だけど
「記憶の中にさえない」風景にしたくない
だから語り、伝えていく

ここにたしかにあった建物、営み、命…
必死に思い出しながら
話しました

若者達は真剣に聞いてくれました

今日で3年5ヶ月です

 

 

 

あとがたり
2024年12月26日

津波で大きな被害を受けた地区は、住んではいけない土地になりました。
案内を頼まれて、海のそばの長面(ながつら)地区に行きました。震災後初めてです。
釜谷地区は校舎があるのでかろうじて町並みを思い出せるのですが、長面の風景はあまりに記憶と違っていて、戸惑いました。
子供の頃遊びに行ったことや、娘とお祭りに行ったことはよく覚えているのですが、風景と一致しない。あの日の前と後の接続がなだらかじゃなくて、気持ちのバランスがとれませんでした。
現在は橋や防潮堤ができて、かつての風景はさらに遠くなりました。


参考:佐藤敏郎のブログ「これまで、ここから~大川小学校のこと」
https://korekoko.blogspot.com/
写真提供:大川伝承の会(2014年8月11日撮影)

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