東日本大震災にまつわる市民協働型アーカイブ活動のプラットフォームとして、2011年5月の発足から10年にわたり取り組んできた「3がつ11にちをわすれないためにセンター(わすれン!)」。発足以来、多くの方々により、映像や写真による記録活動が行われてきました。
その成果はこれまで、ウェブサイトやライブラリー、印刷物、イベント企画等を通じて発信してきましたが、今後さらなる資料の利活用に向けて新たな一歩を踏み出したいと考えています。
「ダイブわすれン!」は、そのひとつの試みとして、これまで蓄積されたわすれン!の資料の海に潜る=ダイブすることから、これからの資料の利活用について考える取り組みです。東日本大震災の記録・記憶を未来に継承することはもちろん、「メディア」や「アーカイブ」という言葉を手がかりに、自らの手で記録や表現を実践することを、もう一度やわらかく、あらためて考え直す機会になればと思います。
今回ダイブするのは、映画研究者の角尾宣信さん、メディアアート研究者・キュレーターの明貫紘子さん、演出家の中村大地さんの3人です。それぞれに異なる分野で活躍する方々の視点から何が見えてくるのか。ダイビングの結果は来春(2022年初旬)です!
角尾 宣信(つのお よしのぶ)
和光大学表現学部総合文化学科 専任講師/映画研究・表象文化論
東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース、博士課程単位取得退学。専門は、敗戦後の日本映画史および美学・アフェクト理論。研究のかたわら、東京都小金井市をベースに地域の高齢者の方と映像制作を行うプロジェクト「えいちゃんくらぶ」、介護施設での映像ワークショップ「シルバーシネマパラダイス!」を展開。共編著に『渋谷実――巨匠にして異端』、『素が出るワークショップ――人とまちへの視点を変える22のメソッド』、共訳書にボリス・グロイス『アート・パワー』がある。
明貫 紘子(みょうかん ひろこ)
映像ワークショップ合同会社代表/メディアアート研究者
2000年筑波大学芸術専門学群総合造形、2002年岐阜県立情報科学芸術アカデミー(IAMAS)卒業。2017年ドナウ大学大学院メディアアートヒストリー修了。SKIPCITY映像ミュージアムとNTTインターコミュニケーション・センター[ICC]学芸員を経て、文化庁の研究調査事業をきっかけにして「メディアアートの記録と保存」に関する研究に着手。2013年から5年間 inter media art institute Duesseldorf(imai、ドイツ)の客員研究員として、ビデオアートのアーカイブ編成とデータベース構築のプロジェクトに従事。現在の活動拠点である、石川県加賀市では地域資料のデジタル・アーカイブ・プロジェクト「モモモモンタージュ」を展開中。www.eizo.ws
中村 大地(なかむら だいち)
作家・演出家/屋根裏ハイツ主宰
1991年東京都生まれ。東北大学文学部卒。在学中に劇団「屋根裏ハイツ」を旗揚げし、8年間仙台を拠点に活動。2018年より東京に在住。人が生き抜くために必要な「役立つ演劇」を志向する。『ここは出口ではない』で第2回人間座「田畑実戯曲賞」を受賞。「利賀演劇人コンクール2019」ではチェーホフ『桜の園』を上演し、観客賞受賞、優秀演出家賞一席となる。近年は小説の執筆など活動の幅を広げている。一般社団法人NOOKメンバーとして、震災から10年目の企画「10年目をきくラジオ モノノーク」などの番組構成を担当。2020年度ACY-U39アーティストフェローシップ。
https://yaneuraheights.net/