「体験を言葉にするということー『戦争語彙集』を読む」を開催します。
人々が必要としているのは、避難所や温かい飲み物だけでなく、自分の物語を誰かに伝えること。
人に話を聞いてもらうことでした。私にできるのは耳を貸すことだったのです。
(オスタップ スリヴィンスキー)
「風呂」は「避難場所」に変わり、「きれい」は「危険」を意味するようになった。
(ロバート キャンベル)
ロシアによる軍事侵攻が続くウクライナ市民への聞き取りをもとに制作された『戦争語彙集(せんそうごいしゅう)』には、戦争によって人々の身近な言葉の意味が変化していく様子が綴られています。作者であるウクライナの詩人オスタップ スリヴィンスキーは、「この本がコミュニティーの役割を果たし、対話が続いていくことを望む」と語っています。
せんだいメディアテークもまた、市民による震災のアーカイブ活動「3がつ11にちをわすれないためにセンター」の12年にわたる運営のなかで、さまざまな記録物からの想起と対話の機会を大切にしてきました。
この企画は、スリヴィンスキーさんと、日本語版の翻訳者であるロバート キャンベルさん、哲学者でメディアテーク館長の鷲田清一が、この『戦争語彙集』をもとに、戦時下の人々の日常と言葉の変容や、災厄の語り継ぎについて、みなさんと共に考えるものです。
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3がつ11にちをわすれないためにセンター 特別講演
「体験を言葉にするということー『戦争語彙集』を読む」
〈開催概要〉
会場:せんだいメディアテーク 1Fオープンスクエア
参加:無料、定員150名、申込不要(先着順)
※12:00から整理券を配布します。開場13:00より整理券番号順にご案内します。
※イベント当日、NHK仙台放送局による取材の予定があります。あらかじめご了解のうえご参加ください。
〈出演〉
オスタップ スリヴィンスキー(Остап Сливинський)
詩人、翻訳家、文芸評論家、エッセイスト。ウクライナのリヴィウ出身、在住。ウクライナ・カトリック大学文芸学科准教授。中東欧文学・比較文学を教える。ペン・ウクライナ副代表。多数の受賞歴を持つ、ウクライナを代表する詩人。英語、ポーランド語、ロシア語作品のウクライナ語への翻訳も多く手掛け、さまざまな国際プロジェクトにも従事している。
ロバート キャンベル(Robert Campbell)
近世・近代文学を専門とする日本文学研究者。文学博士。早稲田大学特命教授、早稲田大学国際文学館(村上春樹ライブラリー)顧問、国文学研究資料館前館長、東京大学名誉教授。『新日本古典文学大系明治編3 漢文小説集』(共編著、岩波書店)、『よむうつわ』上下(淡交社)、『井上陽水英訳詞集』(講談社)、『日本古典と感染症』(編著、角川ソフィア文庫)など編著書多数。
鷲田清一(わしだ きよかず)
哲学者、せんだいメディアテーク館長。大阪大学教授・総長、京都市立芸術大学理事長・学長などを歴任。これまで哲学の視点から、身体、他者、言葉、教育、アート、ケアなどを論じるとともに、さまざまな社会・文化批評をおこなってきた。著書に『モードの迷宮』(ちくま学芸文庫、サントリー学芸賞)、『「聴く」ことの力』(ちくま学芸文庫、桑原武夫学芸賞)、『「ぐずぐず」の理由』(角川選書、読売文学賞)、『つかふ 使用論ノート』(小学館)など多数。現在「折々のことば」(朝日新聞)連載中。
〈書籍について〉
『戦争語彙集』
オスタップ スリヴィンスキー作
ロバート キャンベル訳著
岩波書店 2023年12月22日発行
主催 せんだいメディアテーク(公益財団法人仙台市市民文化事業団)
共催 独立行政法人国際交流基金 仙台市
協力 てつがくカフェ@せんだい NHK仙台放送局 岩波書店