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【レポート】2024年度 自由の森学園高等学校「東北と復興」スタディツアー

2024年714日、昨年に引き続き、埼玉の自由の森学園高等学校の生徒たちが、宮城県石巻市での34日のスタディツアーの最後にメディアテークに立ち寄ってくれました。

このスタディツアーは自由の森学園高校で実施している「東北と復興」という選択講座のプログラムの一つで、この講座では高校1年生から3年生までの約20名が、1年間かけて東日本大震災後の東北について学んでいます。(今年3月には、この選択講座での昨年度の学びを「星空と路」で展示しました。)

自由の森学園高校がスタディツアーでメディアテークに来るのは今年で2回目です。今回は事前にオンライン授業を行い、わすれン!の成り立ちや取り組みについて知ってもらった上で、実際に現地に来ていただきました。

ツアー当日の前半は、わすれン!で記録活動をしている橋本武美さんをお呼びしてお話を伺いました。橋本さんには自閉症の息子さんがいらっしゃり、震災時はさまざまな困りごとに直面したそうです。その経験から、障害児者の家族やケアをする人々の震災体験を記録に残し、今後に活かしたいと、似た立場にある親や支援者の方々に会って、当時の体験の聞き取りを行っています。

(橋本さんの記録活動については、こちらの記事にまとめています。)

橋本さんは「高校生に伝えたいこと」として、以下の3つのトピックについてお話をされました。

1)災害はどこでも起こりうる。もし身近に障害のある人がいたらどうする?
2)避難所に行けない人がいる。
 ・Eさんのお話 息子さんが知的障害を伴う自閉症(当時中2
 ・Dさんのお話 息子さんが知的障害(当時5歳)
 ・Fさんのお話 全盲のご夫婦、息子さんが知的障害を伴う自閉症(当時小1
3)情報が誰にでも伝わりやすい方法を考えてみる。
 ・Gさんのお話 息子さんが知的障害を伴う自閉症(当時小2
 ・Fさんのお話 全盲のご夫婦、息子さんが知的障害を伴う自閉症(当時小1

さまざまな事情で、障害のある方が避難所に行くことを諦めてしまう現状があることや、視覚支援を行うことで情報が伝わりやすくなることなど、実際に聞き取りをした方の声を紹介しながら説明をしてくださいました。

その後の質疑応答では、
「福祉避難所って何?」
「災害時に障害児者とその家族が一番して欲しかった対応は?」
「感覚過敏の方にはどんな環境を用意すればいいの?」
など、時間ギリギリまで生徒たちから具体的な質問が寄せられました。それぞれの問いについて、橋本さんはご自身や周りの方の体験を踏まえつつ、丁寧に答えてくださいました。


ツアー後半は、館内の自由見学時間です。メディアテーク2階の「わすれン!資料室」の展示資料をじっくり見てくれる生徒さんが多く、関心の高さが伝わってきます。


現在の高校生は震災当時14歳だった世代で、当時の記憶がある人もいればない人もいるそうです。
若い世代の彼ら・彼女らの中に生まれた問題意識や気づきは、これから震災をどう伝えていくかを考える上でも、大切な視点であるように思います。
高校生の皆さんがこの講座を通してどのようなことを学び考えたのかという記録も、今後わすれン!にアーカイブしていく予定です。

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せんだいメディアテークでは、市民、専門家、スタッフが協働し、東日本大震災とその復旧・復興のプロセスを独自に発信、記録していくプラットフォームとして「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(わすれン!)を開設しました。

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