ごうけいほうもんしゃすう

歩いている途中はこんなに酷い地震だという感覚がなかった

3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクト 公開サロン @考えるテーブル 2012年9月22日

語り手:中西百合さん/進行・聞き手:佐藤正実さん(NPO法人20世紀アーカイブ仙台)

■崩れたアパート擁壁

崩れたアパート基礎法面<

2011年3月11日 仙台市青葉区旭ヶ丘

[中西さん(以下、中)]この日は旭ヶ丘にある仙台市青年文化センター(現・日立システムズホール仙台/以下、文化センター)でイベントを開いていまして、その会場のステージにいました。すごい揺れが起きて、すぐに外に出なさいと言われ、イベント途中で出てきました。会場にいらしたのがご年配の方々ばかりで、100人以上の方と一緒に避難をしました。この写真は、その会場のすぐ傍で撮った写真です。本当に地震が起きてすぐに通りがかったのですけども、擁壁(ようへき)が壊れていて、このアパート大丈夫なのかなと思い撮影しました。

■剥がれた歩道ブロック

剥がれた歩道ブロック

2011年3月11日 仙台市青葉区旭ヶ丘

[中]文化センターから、街の方向に歩いて帰る途中に何枚か撮りました。実はこの手前の所で、水道管が壊れて噴水状になっていたので、撮れば良かったと思い、そこまで戻ろうかなと思ったら、足下のブロックが剥がれて写真のような形になっていて、思わず撮りました。

[佐藤さん(以下、佐)]今日会場にいらっしゃる方で、ちょうど同じ時間帯に、文化センターにいらっしゃった方がいるんですよね。

[観客]僕も地下鉄に乗っていて、止まって、旭ヶ丘駅で降ろされました。地上に上がったら文化センターの前の交差点の水道管が破裂していて、交通事故もありました。

[中]そうなんです。交通事故は私と同じイベントに出られてた方が遭ったんです。同じ風景を見ていたんですね。

[観客]一番町の方に行こうと思っていたので、タクシーも捕まえても、道路が危ないからだめですと言われて乗せてもらえませんでした。それでやっぱりこの道を歩きました。

[中]イベントに参加された方は仙台市内全域のご年配の方で、70代の方が、3、4時間かかってご自宅に帰られたっていうお話を後日伺いました。

[観客]僕もそこから出てきたおじいちゃんと途中まで一緒に歩きました。

■倒壊した旭ヶ丘の民家

倒壊した旭ヶ丘の民家

2011年3月11日 仙台市青葉区旭ヶ丘

[中]この写真は、文化センターから200メートルくらいのところで、家が完全に崩れていて、慌てて撮ったものです。お年寄りのご夫婦が2人、うろうろして歩いていらっしゃったので、「大丈夫ですか、あそこに人はいらっしゃいませんか」と聞いたら、そこのお家の方だったみたいで、「大丈夫、外に出たから。2人とも出てきたから」と言われました。本当にもう一瞬で壊れちゃったみたいです。

■雪の降る中家路を急ぐ人々

雪の降る中家路を急ぐ人々

2011年3月11日16時20分 宮城県仙台市青葉区上杉 愛宕上杉通

[佐]この写真は、16時20分に雪の降る中、家路を急ぐ人々様子ですね。中西さんはこれまで、崩れた家や、ブロック塀とかを撮影されていましたが、この沢山の人たちが歩いている風景を撮ろうという風に思ったのは、なぜですか。

[中]とっても異様な風景に見えたんですね。そもそも写真を撮ったのは、私はSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)を色々やっていて、こんなにひどい状態をみんなに知らせたいと思ったんです。16時20分と言えばまだ、日中の普通の時間なのにも関わらず、上杉のあたりまで来たら人がぞろぞろ歩いていました。はっきり言ってこの時は、そんなに酷い地震だという感覚がまだないんですね。こんなに人が歩いていて、仕事どうしちゃったんだろうなんて思っていました。自分も傍で歩いているのにすごく不思議で、異様な風景に見えたんですね。皆さん北に向かって歩いてらっしゃったので、ご自宅に急いで帰られるところだったのだと思います。

■津波の痕が残る六郷

津波の痕が残る六郷

2011年4月9日 仙台市若林区六郷

[中]4月に東京の方から友達がすごく心配してやってきてくださいました。せっかく仙台の方まで来てくださったし、私も、海の方へ行ったことがなかったので、当時小学6年生になりたての娘と3人で回ってきました。
屋根の上にゴミみたいなものが置いてあったりして、かなり衝撃的でした。小学生の娘が、風景を見て、「お母さんもう帰ろう」ってすごく言ったんですね。やっぱり怖くてしょうがなかったみたいですね。

■職場の壊れたロッカー

職場の壊れたロッカー

2011年4月16日 宮城県仙台市

[中]この写真は、私の職場にある倒れたロッカーです。このロッカーは、元々繋がっていて10個以上ありました。窓口のところにあったんですが、震災から半年以上この状態でした。結局、オフィスの中を復旧するよりも、まず仕事の対応の方が優先だったんです。仕事が大変で、自分たちの職場の復旧は、やっぱり最後になってしまいました。窓口にいらっしゃった方からは実は苦情も言われました。なんでこのままにしてるのかってすごく言われたんですけれど、私たちにしてみたら、ロッカーを動かすような人出も足りなかったんですね。そういうことで、半年間もこのまま、ずっと置いてありました。

*この記事は、2012年9月22日にせんだいメディアテークの考えるテーブルで行われた『3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクト公開サロン「みつづける、あの日からの風景」』で、中西百合さんがお話された内容を元に作成しています。


当日の様子はこちらからご覧いただけます。
《考えるテーブル レポート》→http://table.smt.jp/?p=1278#report


【3.11定点観測写真アーカイブ・プロジェクトとは】
このアーカイブ・プロジェクトは、東日本大震災で被災した宮城県内各市町の震災直後の様子、および震災から定期的に定点観測し復旧・復興の様子を後世に残し伝えるために、市民の手で記録していくものです。これから市民のみなさまから記録者を募っていくとともに、その情報交換・活動の場を公開サロンとして定期的に行っていきます。これらの定点観測写真は、NPO法人20世紀アーカイブ仙台とせんだいメディアテーク「3がつ11にちをわすれないためにセンター」で記録・公開し、市民参加で震災を語り継ぐ記録としていきます。

NPO法人20世紀アーカイブ仙台
公式Web:http://www.20thcas.or.jp/

【考えるテーブルとは】
人が集い語り合いながら震災復興や地域社会、表現活動について考えていく場を「考えるテーブル」と題して、せんだいメディアテーク、7階スタジオに開きます。トークイベントや公開会議、市民団体の活動報告会など多様な催しを行っていきます。

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せんだいメディアテークでは、市民、専門家、スタッフが協働し、東日本大震災とその復旧・復興のプロセスを独自に発信、記録していくプラットフォームとして「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(わすれン!)を開設しました。

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