宮城県気仙沼市に属する離島、大島は、近代以降においては明治三陸地震津波、昭和三陸地震津波などを経験しています。
島であることからか、「みちびき地蔵」の民話にもみられるように、本土とはまた異なる、地震と津波にまつわる歴史が伝承されています。
そして、本土に数多く作られた地震と津波を伝える碑は、ここ大島にもありました。
宮城県気仙沼市横沼(2011年8月28日 撮影者:越後谷出)
流麗な筆致で、「大地しんそれつなみ」という警句が刻まれています。この形式の警句はここにしかないそうです。また左側の小さな文字は上段が項目名になっており、中段が昭和三陸地震津波の、下段が明治三陸地震津波の被害を具体的に数字で伝えています。項目部分には「救済……金」と読める部分があり、今でいう義捐金が交付されたことも記録されているようです。
宮城県気仙沼市長崎(2011年8月28日 撮影者:越後谷出)
これは朝日新聞社が募集した義捐金により建てられた昭和三陸地震津波の石碑のひとつ。
碑銘が「MEMORIAL OF THE GREAT ERTHQUAKE AND TIDAL WAVE」と英文になっていますが、本文は和漢文で記されています。また、碑文は昭和三陸地震津波だけではなく、「古来伝説曰く昔大津浪有り」と島に伝わる「伝説」からも書き起こされ、明治三陸地震津波についても触れられています。
【参考リンク先】
国土交通省 東北地方整備局 道路部「津波被害・津波石碑情報アーカイブ」
【参考文献】
北原糸子「東北三県における津波碑」(『津波工学研究報告』18、pp.85-92、東北大学、2001年)
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大島の景色と石碑の拡大写真はこちら 「大島寸景」