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「閖上のさぐば×ペルーのカバリト」アフタートーク 林剛平×上原啓五

星空と路-上映室-「暮らしの行き先」

 

2018年2月24日(土)、25日(日)に開催した「星空と路-上映室-『暮らしの行き先』」では、記録映像の上映後にわすれン!参加者とゲストの方にご登壇いただき、記録や活動について伺うアフタートークを行いました。

24日(土)10:00からの上映は『閖上のさぐば×ペルーのカバリト』でした。
「さぐば」とは貞山運河で使用されていた木造小舟の主に名取市閖上での呼び名で、川を渡るときや物を運ぶとき、また漁業のときなど、幅広い使い途がある生活に密着したものだったようです。一方「カバリト」とは南米ペルーの小舟です。水辺に生えた背の高い植物を刈って縛って出来上がった「カバリト」も、その地域で様々なことに活用されてきたことが想像できます。
今回はわすれン!参加者である林剛平さんが記録された『さぐば』のショートバージョンと、ドイツの映像アーカイブEC(エンサイクロペディア・シネマトグラフィカ)に所蔵されている『アシ舟“カバリト”づくり』の映像を同時上映し、ふたつの舟の類似点や相違点から、私たちの暮らしのことを考えられないだろうかという試みのプログラムでした。

トーク登壇者は林剛平さんと上原啓五さん。
生態学者の林さんはご自身の研究の傍ら、調査結果の数字だけでは拾いきれない風景をわすれン!参加者として記録していただいています。
ランドスケープアーキテクトの上原さんは庭園や公園などのデザインを手掛けられつつ、貞山運河研究所(現在は「貞山運河倶楽部」)の理事としても活動されており、環境を生かしたまちづくりを提案されています。

トークの中ではふたりの出会いから、閖上の方たちに聞きとりをする中で何度も話に出てきた「さぐば」を復元するに至った経緯にはじまり、「カバリト」の映像との比較を経て、失われていく技術や土地と人との関わりの変化についてというところまで話が及びました。
ふだん自分が生活している町の近くにも全然知らなかった技術や文化があり、それがほんの十数年前までは続いていたということを知ることで、土地への関心やこれからの暮らしのヒントにつながるような時間を持つことができたと思います。

 

【視聴者のこえ】


・技術継承としても映像は貴重なんですね。たまたま通りかかり、拝見しましたが、とても良かったです。手仕事の継承をどう新しい視点でとらえて(これからのコミュニティ・観光)いくかという意味で考えさせられました。歌よかった!!だっちゃね!!司会の方の質問も、会場の方の質問も良かったです。(上映会アンケートから)

・林さん、上原さんのお話が聴けて、とてもよかったです。林さんの唄には、涙がでました。情熱や想いが人を動かし、人と人を結びつけるのだなぁと思いました。「手作り」がすばらしいのは、自立性の証だからなのではと思いました。沖縄にも「サバニ」という舟があるのを思い出しました。(上映会アンケートから)


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(中)林剛平さん/(右)上原啓五さん



【プロフィール】
林剛平(歓藍社)
原発事故調査の際に見る、東北各地での景色や食文化、手仕事の記録を始める。福島県大玉村にて、震災後の里山を探求する歓藍社を仲間と起ち上げる。2016年よりわすれン!に参加。2017年、自身撮影の記録映像『小国春熊猟2016』が山形国際ドキュメンタリー映画祭にて上映される。

上原啓五(ランドスケープアーキテクト)
1948年青森県生まれ。技術士(都市および地方計画)。(株)作庭舎代表取締役。貞山運河倶楽部理事。庭園、公園、まちづくりを歴史や伝統を大切に、先人たちへの敬意を払いながら、世界中の建築やアートを積極的に解釈し、感性を刺激する固有のデザインを行っている。仕事:円通院、天守閣自然公園など。

【記録映像紹介】
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『さぐば』 120分
かつて「さぐば」と呼ばれる木造小舟があり、海、浦、川の作業場として使われていたことを、閖上の方にお話を聞く中で知りました。その復元のため歌津の岩石孝喜棟梁に会いました。大型の復興土木事業と並行して行われていた、舟を手で作ることの記録です。
[撮影]林剛平
[撮影地]宮城県名取市閖上・南三陸町歌津、三陸沿岸
[撮影日]2016年5月-9月
[制作年]2016年

こちらの映像はDVD化されており、せんだいメディアテーク 2階 映像音響ライブラリー/視聴覚教材ライブラリーにて、貸出・視聴サービスをご利用になれます。⇒【DVD収録作品紹介】さぐば
DVDの貸出状況のご確認には、仙台市図書館ウェブサイトの資料検索をご利用ください。

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