いつもと同じ日に

節目のテキスト:2021年3月(10年)


2021年3月12日

今年はとても穏やかな天気。去年は大風で大変でした。
3月11日が特別な日となって10年です。

多くの人がこの場所に足を運び
いくつもメディアの取材がありましたが
3月10日も3月12日も、実はそんなに変わらない日。
去年も、10年前も、来年も再来年も。

忘れないように。
あの日も
いつもと変わらない日だったこと。

 

 

あとがたり
2024年12月30日

2021年3月11日は、震災10年ということで例年以上に人が集まった。テレビの中継車も入った。特別な日の特別な場所。朝から夜まで何度もインタビューを受けた。「10年経ってどうですか?」

この日はすごい数のメディアが来た。
私にとっては、10年経ったからといってそんなに変わらない。10年前と比べて現在は絶対違うけど、10年経ったから昨日と変わったかと言われたら、そうではない。

この日の夜は、NHKの生中継があり、大川小の前でインタビューを受けてほしいと打診があった。娘の命日に娘が亡くなった場所でインタビュー受けたくないと断ったが、何度も頼まれた。すると妻が「お父さんが断れば誰かがそれをやらなきゃいけない」と言うので引き受けることにした。
引き受けてすぐ、NHKが打ち合わせで想定問答を持ってきたので、こんなの生放送の意味がないとダメ出しをした。それで、事前打ち合わせなしの一発本番になった。10年後の3月11日の夜、多くの人が見ている時間帯で、かなり緊張した。スタッフの緊張感も伝わってきた。予定時間をだいぶオーバーした気がする。

語り部をしている仲間が「3月11日はそういう日だと思っている」と話していた。いろんな人に知ってもらい、考えてもらう日。なるほど。
手を合わせたり、あの日のことを考えたりするのは毎日やっているから、3月11日じゃなくてもいい。だから当日くらいはみんなに注目してもらってもいいのかなとも思う。

ただ遺族や地元の人たちは、3月11日は静かに過ごしたいという人が多い。その日だけ人がたくさん来ることをよく思わない人もいる。もっともだ。

3月11日に限らず、さまざまな災害の節目の日は年中ある。1月17日の阪神淡路大震災、3月11日の東日本大震災は目立つが、あまり人に記憶されていない日もある。そういう人たちからすれば、3.11ばかり注目されていると感じるだろう。
来年1月1日はどうなるのか…。

 

参考:佐藤敏郎のブログ「これまで、ここから~大川小学校のこと」
https://korekoko.blogspot.com/
写真提供:大川伝承の会(2021年3月11日撮影)

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