制作者コメント:
昔、真冬の東北自動車道で遭難しかけた経験があります。走行中にエンジン不良が発生したため、最寄りのパーキングエリアに駐車してロードサービスの到着を数時間待っていました。焼きついたエンジンはかけられず、窓の結露はみるみる氷結していきます。外は猛吹雪で真っ白。風の音しか聞こえない中で、ふと荷物の中にビデオカメラがあったことを思い出しました。手持ち無沙汰に録画ボタンを押しながらひとしきり己の状況を呟くと、精神的にぐっと楽になったことをなぜか今でもよく覚えています。カメラの存在が頭を冷静にさせ、現実を客観視する手助けをしてくれたのだと思います。この車載映像の撮影中、この体験を思い出しながらずっとハンドルを握っていました。
記録:
木村グレゴリオ
撮影年月日・撮影場所:
2011年3月27日(宮城県仙台市宮城野区ー塩竈市東玉川町ー多賀城市港ー仙台市宮城野区,
国道45号線ー県道35号線ー国道45号線ー県道10号線ー県道139号ー県道23号)
撮影日:
2011年3月27日
収録:
91分
制作年:
2011年
【視聴者のこえ】
・貴重な映像をありがとうございました。当時は仙台にいなかったので、こんな現実があったのは本当に今でも信じ難いです。(2023年3月上映会)
・「助手席で見る風景」という感想がしっくりきました。でも、普通ではない風景というところにある種の違和感があって不思議に思いました。(2023年3月上映会)
・記録に残すことは大切であると感じました。特に車載カメラ視線は新鮮でした。R45の当時と現在を明確に比較することができました。(2023年3月上映会)
・震災直後は外出していないので当時の様子が知れてよかったです。市の市街地に近いところは45号線沿いの左車線は停車している車(ガソリンスタンドの列)で埋まっていますが、沿岸部は被災した車で動かせずという事情なんだなと思いました。途中、被災した車を2段重ねで運んでいる軽トラが左に映っていたり、買い物した荷物を持って歩いている歩行者が映っていたり、救急車の音が入っていたり、当時のことが思い出されました。「この景色が見れなくなるかも知れない」という捉え方がすごいと思いました。(2023年3月上映会)
・震災直後の車載映像を10年も経って見られると思わなかった。震災後に仙台に引っ越してきたので、あまり道路について土地勘がないのだが、最初は震災後の仙台が、そこまで被害状況もなく安心して見ていたが、信号のたびにエンジンを切る様や、徐々に道の脇に車が駐車されていたりする風景にハッとさせられた。(2023年3月上映会)
・意外に被害が少なかった地域が、人通り、車の通りなど一見普段通りに見えて驚いた。あまりにも沿岸部との対比が鮮明で、当たり前といえばそうなんですが、沿岸部の被害の大きさが際立った。(2023年3月上映会)
・仙台市内はあまり変わりない様に見えます。海岸に近い所は津波の爪痕を感じました。意外と車道が整備されていたのには驚きました。ニュースでは車が積み重ねてあったのを見ましたが本当に早く撤去したのですね。(2023年3月上映会)
・ラスト30分を拝聴しました。車道はあまり被害がないようで、運転には影響なく進んでいる印象でしたが、沿岸部に向かうにつれ道のそばに瓦礫の山が連なる風景に変わっていき、同じ日本とは思えない様なスラムを連想する町並みが印象的でした。復路で道路上の瓦礫?のようなものに引っかかったようなシーンがあり、もっと被害の大きい地域や被災の直後は運転もできない状況なんだろうと思いました。(2023年3月上映会)
・車載カメラの映像→酔った。そして眠気に抗えなかったのが逆にリアルで、道の脇の瓦礫で当時を思い出した。同じところからスタートして戻るというのが「見る側の文法」というのが面白い。同じ様に無目的に映像を残すことがあるので、似たことをされている人がいるというのが興味深かった。(2023年3月上映会)
・過去にマスコミで部分的にしか映像を見ていませんでしたが、本映像は被害の惨憺たる連続的に継続しており、ハラハラして見ていました。貴重な映像で記録としては後世に残して今後も多数の方々に公開して広く認識していただける様、今後も広く公開の機会を設定してください。お願いいたします。今後の対策の参考になると思いますから。(2023年3月上映会)
・月日が経つと発災直後の景色はすぐになくなってしまうので、この様な映像は大変貴重です。ナレーションも解説も感想もないのが、かえって見る側の想像に任せられるので、私はよかったと思っています。(2023年3月上映会)
・途中で少しうとうとしてしまったのですが、このような機会に見ることができてよかったです。最後どうなるんだろうと思いましたが、元の場所に戻ってきたことがわかってホッとしました。映像の上半分の切り替わる景色を見てトークを聞きながら、編集しないことも表現の一つになるんだなと思いました。(2023年3月上映会)
・3/27の映像ということでしたが、その後5/1〜5/7くらいに同じ様なコースで走行しています。約2ヶ月間の変化と、変化のなさと、双方でいくつか気づくことがありました。記録は「比較」があってその意味が立ち上がってくると思います。その時に参照できるものがあるということが、まず大事なことだと思います。(特に最近のことほど意外と復元が難しいので)(2023年3月上映会)
本作品は、せんだいメディアテーク2階の映像音響ライブラリーにて、貸出・視聴サービスをご利用いただけます。DVDの貸出状況のご確認には、仙台市図書館ウェブサイトの資料検索をご利用ください。
全DVDの一覧はこちらからご覧いただけます。
関連動画:車載映像 県道10号~仙台塩釜港 2011.3.27
※youtubeで一部がご覧になれます。