さぐばと呼ばれる木造舟が、宮城県の海辺の町、閖上(ゆりあげ)にあることを、仙台に越してきて色々な方に聞く機会がありました。そのお話の中で見えた景色は、閖上にある、木挽堀(こびきぼり)、貞山堀という運河、その運河が担ってきた仙台の街への物流、そしてその物流を担ったのがさぐばです。
さぐばという水上の作業場は、人の住む場所の傍で、そして人の手で、作ることが出来きました。さぐばを浮かべるのは、漁師に大工です。大工を支えるのは、山師に鍛冶屋です。手仕事の現場では、ものを作る人よりも先に、ものを作るための道具や素材を作る人から数が減っていったそうです。
さぐばを再建された舟大工の岩石棟梁は、津波にのまれた自身の工場から道具を見つけ出し使っていました。少し錆びの入った鋸(のこぎり)を触りながら、摺り合せ鋸を打てる鍛冶屋さんがもう居ないと言っていました。舟釘も広島から取り寄せ、鍔鑿(つばのみ)は函館から取り寄せたと言っていました。
これは、大型の復興土木事業と並行して行われていた、舟を手で作ることの記録です。
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