
2024年3月10日、「星空と路」の展示会場でギャラリートーク「それぞれの記録のかたち」を行い、本展で記録を紹介している3名をゲストに迎えてお話を伺いました。
「普通という風景」の髙橋親夫さんは、震災前から地域の写真を撮影し続けています。一方で「3.11あのときのホント」の橋本武美さんは、2023年からレコーダーを持って取材を始めました。「『東北と復興』を考える」に参加する佐野友紀さんは、2022年に高校の授業で初めて石巻を訪れたことをきっかけに、「復興」について自分事として考え始めました。
記録を始めた時期やその方法、立場や住む場所も異なる3名が、それぞれにどのような思いで活動しているのか、お話を聞きました。
聞き手として、SARP(仙台アーティストランプレイス)の運営に携わり、隣接する喫茶frameを経営しているほんだあいさんにもご参加いただきました。
左から、スタッフ佐藤(進行)、ほんださん、橋本さん、佐野さん、髙橋さん
【展示紹介】
3.11あのときのホント(橋本武美)
自閉症の子を持つ親である橋本武美さんは、震災時に経験した障害児者の家族の困りごとを記録に残し今後に活かしたいという思いから、似た立場にある親たちに会って当時の体験の聞き取りを行っています。
会場では、2024年3月までにお話を聞いた8名の方の音声を一部抜粋し、字幕をつけた映像をモニターで展示しました。また、8名の体験談を全文文字起こしした冊子も設置しました。そして、お話の中で出てきたエピソードを抜粋して紹介する壁面展示も行いました。
これらの記録は本ウェブサイト内の記事「3.11あのときのホント」でもご覧いただけます。
普通という風景(髙橋親夫)
長年地域の写真を撮影し続けている仙台在住の髙橋親夫さんが、震災の前月の2011年2月、宮城県の沿岸部を歩いて撮影した冬の写真と、当時の日記を展示しました。写真と日記の展示のほか、「2011年2月頃、あなたは何をしていましたか?」という問いを書いたノートを設置し、来場者の方々にエピソードを書いていただきました。
これらは直接的な震災の記録ではありませんが、震災前の日常を思い出すことも、震災を考える上でのひとつの視点になるのではないかと考えています。
写真記録は、本ウェブサイト内の記事「普通という風景」でもご覧いただけます。



「東北と復興」を考える(自由の森学園高校選択授業「東北と復興」メンバー)
埼玉の自由の森学園高校で実施している選択授業「東北と復興」のメンバーが、1年間の授業の中で学び考えたことをまとめて展示しました。高校生が東北の地を訪れ、見て聞いて考えたことの記録です。
壁面に貼られた模造紙は、授業の成果を手書きでまとめたものです。模造紙の最後の1枚は、生徒たちからの3つの問いに、来場者がふせんで答えるかたちになっています。また、授業の最後に行った学習発表会を記録した動画、生徒たちの感想コメント集、トークに登壇した佐野さんのノートなども展示しました。
