現在の町並みが変わりゆく姿を想像し、その痕跡がなくなる前にと、地域の風景を写真に収めてきたわすれン!参加者の高橋親夫さん。福島県浪江町には2016年から、双葉町には2020年から、いずれも2022年6月までほとんど毎月現地に通い、町の記録を続けてきました。
2022年11月17日、それらの写真をもって福島県いわき市の下神白団地(しもかじろだんち)に行き、「浪江町・双葉町の写真を見る会」を開催しました。下神白団地は、原発事故により避難されている福島県双葉町、浪江町、富岡町、大熊町の人々が暮らす、いわき市にある福島県営の復興公営住宅です。
当日は、団地のみなさんが集まる集会所にお邪魔しました。高橋さんが作成した浪江町と双葉町の25冊のアルバムを長テーブルに並べると、みなさんで頭を寄せ合い、自宅近辺が写っている写真を探し始めました。
「東邦銀行の通り沿い」、「浪江町郵便局がここにあるから」など、それぞれの生活の中での目印などを口々に言い合い、自宅近辺の地図をもとに写真を探す住民のみなさん。黙々とアルバム全冊をめくり続ける方もいれば、地域名を高橋さんに伝えてリクエストする方もいらっしゃいました。
(写真) リクエストのあった地域を探す高橋さん
自分の家がしっかりと写っている人はいませんでしたが、知り合いのお店や勤務先の会社を写真の中に見つけたり、よく通っていた道を発見したりする声があがりました。中には、膨大な写真を撮り続けた高橋さんの活動に驚く方もいらっしゃいました。
(写真)見慣れた風景を写真で見つけ、その場所について話し合う場面も。
【番外編】浪江町役場いわき出張所
ご参加いただいた方から、「他にも見たい人がいるはず」と、いわき市内で浪江町民の方々が集まる「浪江町役場いわき出張所」を紹介してもらいました。早速向かうとクラフト教室が開かれており、たくさんの人が集まっていました。担当の方にアルバムのことをお話しすると、その場でクラフト教室のみなさまや役場職員の方々に見てもらえることに。その場で自宅の写真を見つけた方も数名いらっしゃり、写真をお渡しすることができました。
「いつか誰かの役に立つかもしれない」と撮り続けてきた高橋さんの写真を、この日は地元の方々に見ていただく貴重な機会となりました。髙橋さんの写真をご覧になりたい方、記録を活用したい方などいらっしゃいましたら、わすれン!までお気軽にお声がけください。