ごうけいほうもんしゃすう

【利活用事例】March 12: The First Meal After the Earthquake「3月12日はじまりのごはん」 @小樽商科大学

〜食にまつわる自分と他者の気持ちに気づく授業〜

 

2023年12月1日に小樽商科大学の「英語IIA4(E266A4)」の授業で「3月12日はじまりのごはん」を活用していただきました。「英語IIA4」のE266A4を担当する武部エイミー准教授は、この授業をEnglish for Specific Purposes(特定の目的のための英語 通称ESP)という枠組みで行っており、「災害時言語ボランティア育成」の観点から防災・災害関連の英語をおよそ2ヶ月半かけて学習指導しています。そのため、授業は一貫して英語で行われています。
担当教員の武部エイミー准教授は、上手に英語で伝えられなくても良い、適切な支援をするには他者の気持ちに気づくことが大切と考えています。そのため、どの国の人にも共通する「ごはん」というテーマに注目して、今回「3月12日はじまりのごはん」の英訳記事を教材として使用するに至りました。

*「3月12日はじまりのごはん」は、市民から寄せられた東日本大震災直後の食事にまつわる写真を展示し、来場者が当時思い出したことなどを付箋に書いて貼っていく参加型のプロジェクトとして、3.11オモイデアーカイブと協働で企画しています。今回ご利用いただいたのは、わすれン!の英語ウェブサイトで公開している英語訳(March 12: The First Meal After the Earthquake)の資料です。

▼授業で使用した「3月12日はじまりのごはん」の資料と、学生たちによるコメント


*写真は[Spring 2015] Exhibited Panels

Maybe occur black out
I think the important to buy emergency food.
=(停電に備えて保存食を買うのは大切だと思った)

Very sadness dinner
=(さみしい夕飯だ)

 

事前課題の「Stories from My Kitchen」と「3月12日はじまりのごはん」を使用した当日の授業

この授業では、学生たちが思い出に残るごはん、あるいは普段食べているごはんを写真で撮り、英語でエッセイを書く①「Stories from My Kitchen」(日常のごはん)という課題が事前に出されていました。まず、自分の日常的なご飯の記録から、自分とご飯の関わりや気持ちに気づいてから、②「3月12日はじまりのごはん」の資料を見て他者の気持ちに気づくという授業構成となっています。

授業の様子

①まず学生たちが順番に、クラスメイトに自分のご飯の写真の前で、食にまつわるエピソードを共有しました。その発表を聞いたあと、お互いの考え・感情を付箋に書いて写真の周りに貼ります。

②全員が発表し終わったあと、「3月12日はじまりのごはん」の写真・コメントも見て自分たちが思ったことを英語で付箋に書いて写真の周りに貼りました。
付箋には、学生同士のやりとりが見られます。

 

③最後に全体の展示を見渡し、
"What is 'culture' from the point of view of food?"= (「食」を通じて読み取れる「文化」とは?)や "What are some things that you've noticed as patterns in your classmates' comments?"=(クラスメイトのコメントから読み取った傾向はありますか?)という担当教員からの問いに対し緑の付箋で自分の考えを書きました。

 

 

学生たちのコメント(付箋)

教室では「Stories from My Kitchen」と「3月12日はじまりのごはん」の写真を交互に壁に貼りだしました。
▼「3月12日はじまりのごはん」(左)と「Stories from My Kitchen」(右)


最初はそれぞれ別の壁に分けて貼り出す予定だったそうですが、日常と震災時の食の写真を同じ壁に並べた方が、付箋に書いてある内容の違いにより気づけると武部さんは考え、この並べ方に変更したそうです。

 

①Stories from My Kitchenに対するコメント

 


Make animation’s food=(アニメのトーストを作った。)
I like Raputa too! It’s amazing to be able to reproduce=(私もラピュタ好き!再現できるなんてすごいね。)
Culture relates memory of family=(家族との思い出は文化と関連する。)

 


学生さんのご飯、味噌汁の写真に対するコメントには、「食が家族や人間関係を繋げるものである」「文化というのは人がいて成り立つもの」というコメントが多数ありました。

 

②「3月12日はじまりのごはん」に対するコメント

In disaster situation, people make a line.
=(災害時に、人は並ぶ)

The empty place of product shelf stands out.
=(商品棚のガランとしているところが目立つ)

It's very important to store food. I should buy emergency food.
=(食べ物を備蓄することはとても大切だ。非常食を私も買わなければ)

After disaster. People buy something in convini
=(災害直後。人々はコンビニで何かを買う)

I have see the food in war movie.
When I look this picture,
I feel sad, because I remember earthquake.
=(こんな感じのご飯を戦争映画で見たことがある。この写真を見ると、地震を思い出すので悲しくなる。)

In Hokkaido, There was the same situation...
I don't have to think 
This isn't related me 
=(北海道でも同じような状況がありました...私に関係がないとは考えられない)

 


まとめ

日頃から「防災」「ごはん」「英語」を掛け合わせて何かできないかと考えていた武部さんは、「3月12日はじまりのごはん」の付箋のコメントなどから、学生たちが災害時における他者の気持ちを想像するきっかけになれば、と考えたそうです。 武部さんは授業をこのようにまとめています。

 

『「3月12日はじまりのごはん」の写真には、お茶やコンビニなど日常に馴染みのあるものがあり、自然災害は日常の中で突然起こることを表している。クラスメイトが自分たちの食にまつわる写真に共感している様子や「3月12日はじまりのごはん」の中でコンビニなど馴染みのある場所に立ち寄る姿の写真などを見ると、食に関することだからこそ、日常・非日常の状況に関わらず共感できる部分がある。一緒に共感できる人は、大げさに言えば「家族」であり、災害ボランティアとして「家族を助ける」つまり、共助の心を持つことが大切であり、その共助の心がもしかしたら「文化」なのかもしれない。』

 

*ウェブサイトで公開している記録資料を利用したい方は、「記録をつかいたい方へ」をご覧ください。

月別アーカイブ

センターについて

せんだいメディアテークでは、市民、専門家、スタッフが協働し、東日本大震災とその復旧・復興のプロセスを独自に発信、記録していくプラットフォームとして「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(わすれン!)を開設しました。

3がつ11にちをわすれないためにセンター
(せんだいメディアテーク 企画・活動支援室内)

〒980-0821 宮城県仙台市青葉区春日町2-1

TEL 022-713-4483

Copyright © 2024 sendai mediatheque. All rights reserved.