あの日の星空と、そこから歩んできた13年を振り返る
せんだいメディアテークは2011年5月3日、東日本大震災という大きな出来事に向き合い、ともに考えるために、「3がつ11にちをわすれないためにセンター」(略称:わすれン!)を開設しました。
「わすれン!」には、市民、専門家、アーティストなどさまざまな立場の人びとが参加し、ともに震災にまつわる事柄を記録し、発信しています。
「星空と路(みち)」は、センターの参加者による記録を紹介する展示やイベント、そしてこれまでに寄せられた記録の利活用の試みの場として、毎年3月に開催しています。個々のまなざしがとらえた記録を通して、これまでの道のりとこれからの歩みを考える時間を過ごすことができればと思います。
《 開催概要 》
会場:せんだいメディアテーク
入場無料・申込不要
[展示]
●3月7日(木)〜3月11日(月)10:00-18:00 1f オープンスクエア
●3月13日(水)〜4月21日(日)9:00-22:00 7f ラウンジ
*3月28日(木)はお休み
*「わすれン!録音小屋」のプロジェクトのみ、3月13日以降は2Fの「わすれン!資料室」で展示します。
[イベント]
●3月9日(土)14:00-16:30
てつがくカフェ 第92回「忘れ去られそうな“震災”のことをひろいあげる」
●3月10日(日)11:00-12:30
ギャラリートーク「それぞれの記録のかたち」
*イベント詳細は下記をご参照ください。
主催・問い合わせ
せんだいメディアテーク企画・活動支援室
3がつ11にちをわすれないためにセンター
仙台市青葉区春日町2-1
TEL 022-713-4483 / FAX 022-713-4482
以下はプログラム詳細です。
《 展示(市民によるプロジェクト) 》
3.11あのときのホント / 記録:橋本武美
今だから言える・聞ける 障害児の親の声
自閉症の子を持つ親である橋本武美さんは、震災時に経験した障害児者の家族の困りごとを記録に残し今後に活かしたいという思いから、昨年、似た立場にある親たちに会って当時の体験の聞き取りを始めました。これまで表に出てこなかったそれらの声の一部をまとめ、展示します。
*3/10(日)橋本さんがギャラリートークに登壇します。
ARAHAMA Living History / 記録:HOPE FOR project
元荒浜住民へのインタビュー集
震災当時荒浜で暮らしていた・働いていた7名のインタビューを、映像とテキストで展示します。あの日から何が楽しくて、嬉しくて、悲しくて、辛かったのか。そして、いま伝えたい思いとは。現在は震災遺構となった荒浜小学校を拠点に活動する「HOPE FOR project」が掬い上げてきた、声なき声の記録です。
「東北と復興」を考える / 記録:自由の森学園高校選択授業「東北と復興」メンバー
高校生が見て聞いて考えた、東北の復興のいま
埼玉の自由の森学園高校で実施している選択授業「東北と復興」のメンバーが、1年間の授業の中で学び考えたことをまとめて展示します。高校生が東北の地を訪れ、見て聞いて考えたことの記録です。
*3/10(日)メンバーの佐野友紀さんがギャラリートークに登壇します。
続・参佰拾壱歩の道奥経 / 記録:宙崎抽太郎
失いつつある故郷像をつなぎとめるための試み
仙台出身・東京在住で、故郷から離れて暮らしてきた宙崎さんが〈故郷像の喪失に対する再接続の試み〉として記録した映像シリーズ「参佰拾壱歩の道奥経」。2015年-2023年にかけて制作されたそれらの作品を振り返りつつ、制作の動機や故郷への思いを綴った文章をまとめて展示します。
映像に触れて、言葉を紡ぐ / 記録:お茶の水女子大学の学生有志、丹羽朋子 Dialogue / Research / Trip DRT
「正解のなさ」と向き合った、大学生の対話の記録
震災後に市民が撮影した「わすれン!」の記録映像を、当時子どもだった大学生30人が観て対話しました。“弔う”とは? “震災の当事者”とは? なぜそこに住み続けるのか? 映像を見て感じたことを伝え合い、他者と共に言葉を見つけてつなぐ試みから、“継承”のヒントを探ります。
展示制作班:瀬木和佳奈・野口真悠子・野本彩乃・平子七海・吉村紫織
テキスト作成協力:松島有希・太田萌実
一部、JSPS科研費21H00642、22H00011助成
普通という風景 / 記録:髙橋親夫
2011年2月、沿岸部の風景と日記
長年地域の写真を撮影し続けている仙台在住の髙橋親夫さんが、震災の前月の2011年2月、宮城県の沿岸部を歩いて撮影した冬の写真と、当時の日記を展示します。2011年2月、あなたは何をしていましたか?震災前の日常に少しだけ思いを馳せる、そんな場になればと思います。
*3/10(日)髙橋さんがギャラリートークに登壇します。
《 展示(わすれン!企画のプロジェクト) 》
わすれン!録音小屋
ふたりで震災の対話を残すプロジェクト
ふたりひと組で小部屋に入り、震災にまつわる話を録音する「わすれン!録音小屋」。これまでに録音された音声の一部を紹介します。
(録音小屋の利用は予約不要、2階の映像音響ライブラリーカウンターにて常時受付)
*3月13日以降は、7Fではなく2Fの「わすれン!資料室」にて展示します。
インタビューシート −あなたの体験を教えてください−
来館者が綴る、一人ひとりの震災体験談
2023年3月より、さまざまな問いから震災を振り返るインタビューシートを館内に設置し、来館者一人ひとりの震災体験をアーカイブしてきました。これまでに集まった150以上のシートを展示しつつ、新たな体験談も募集します。あなた個人の体験を書いて教えてください。
3月12日はじまりのごはん −いつ、どこで、なにたべた?−
食から思い出す震災の記憶
「3月12日はじまりのごはん」は、毎年恒例、3.11オモイデアーカイブとわすれン!による協働企画。時間が経ち、徐々に語られにくくなった震災について、当時の「食」にまつわる写真をきっかけに、来場者が思い出した当時の体験や思い、そしてそれに関するコメントなどを自由にふせんに書いていく参加型の試みです。
宮城県沿岸部の定点観測写真
定点で見るまちの変化
震災後から続けてきた定点観測写真の撮影。宮城県沿岸部の気仙沼、石巻、女川、名取、仙台にて、2023年も撮影を行いました。区画整理やかさ上げ工事による風景の変化など、継続的な撮影によって浮かび上がる、12年にわたるまちの記録を展示します。
《 イベント 》
3/9(土)14:00-16:30
てつがくカフェ 第92回「忘れ去られそうな“震災”のことをひろいあげる」
2月1日から3月11日のあいだ、せんだいメディアテーク1Fに「モヤモヤボード」を設置し、東日本大震災と福島第一原発の事故についてうまく言葉にならない漠然とした「モヤモヤ」をみなさんから集めます。
まとまらないままであっても、言葉にして一旦身体の外に出してみることで、少し距離を取って出来事と向き合えるかもしれません。
今回のてつがくカフェでは「モヤモヤボード」に寄せられた「小さなつぶやき」と向き合うことから対話を始めます。是非、ご参加ください。
てつがくカフェとは?
「てつがくカフェ」は、わたしたちが普段、当たり前だと思っている事柄から、いったん身を引き離し、「そもそもそれって何なのか」といった問いを投げかけます。そして他者との対話を通して、自分自身の考えを逞しくすることの難しさや楽しさを体験するものです。
会場:1Fオープンスクエア
参加無料・申込不要・直接会場へ
主催:てつがくカフェ@せんだい、せんだいメディアテーク
3/10(日)11:00-12:30
ギャラリートーク「それぞれの記録のかたち」
「わすれン!」には、震災後からさまざまな立場の市民が参加し、日々震災にまつわる記録活動をしています。今回は、本展で記録を紹介している3名をゲストに迎えてトークを行います。
「普通という風景」の髙橋さんは、震災前から地域の写真を撮影し続けています。一方で「3.11あのときのホント」の橋本さんは、昨年からレコーダーを持って取材を始めました。「『東北と復興』を考える」に参加する佐野友紀さんは、一昨年に高校の授業で石巻を訪れたことをきっかけに、復興について自分事として考え始めました。記録を始めた時期やその方法、立場や住む場所も異なる3名が、それぞれにどのような思いで活動しているのか、展示解説を交えつつお話を伺います。
聞き手には、SARP 仙台アーティストランプレイスの運営に携わり、隣接する喫茶frameを経営しているほんだあいさんにお越しいただきます。
ゲスト:髙橋親夫、橋本武美、佐野友紀(自由の森学園)
聞き手:ほんだあい(喫茶frame)
会場:1Fオープンスクエア
参加無料・申込不要・直接会場へ
* * *
2fの常設展示「わすれン!資料室」 へもお立ち寄りください
メディアテーク2Fには、わすれン!の資料を閲覧できる常設展示「わすれン!資料室」があります。資料を詰め込んだ屋台のような「アーカイヴィークル」、「わすれン!録音小屋」のほか、各地の定点観測写真や震災体験手記など、これまでに寄せられたさまざまな記録資料の一部をご覧いただけます。
資料室の開館日時は、映像音響ライブラリーと同じです。
平日は9時30分から20時まで、土日祝日は18時まで。休館日は月曜日、祝日の翌日、第4木曜日。
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「星空と路」会場風景
1Fオープンスクエア(3/7〜11)
7Fラウンジ・スタジオa(3/13〜4/21)
撮影:越後谷出
[2024年4月6日 更新]