地震が起きた3月11日の夜は、停電になった。私は仕事先で被災し、雪の中を歩いて家に戻った。家族は無事だったが、電気ガス水道は通じず、自室のドアは内側から本棚に押さえられて開かない。なんとか入ってみれば、寝る場所もないほど物が散乱していた。三月の太陽はあっという間に街並みに沈み、私は懐中電灯を手になんとか寝る場所を確保した。電気の消えた街にテレビやラジオの喧騒はなく、雪が降った後の冷たい空気がしんと静まり返っていて、車のエンジン音とヘッドライトが時折静けさを破った。星空がきれいだった。
星空
地震が起きた3月11日の夜は、停電になった。