今回お話してくれたのは、同じ職場で働くAさんとBさん。
ふたりは会話の途中で、聞き手と話し手の役割を交代し、お互いの震災経験や考えなどたくさんのことを聞きあっています。 この記事では、Aさんが聞き手となり引き出された、Bさんのお話(前半)を紹介していきます(後半部分はこちら)。
Aさんと同じく職場で震災にあったBさん。震災のときに一番大変だったのは、水がないという状況だったと言います。水が飲めない、トイレも流せない、お風呂に入れない。。お風呂に入れなかったのはある種のトラウマになっているようで、震災後は自然災害の予報にとても敏感になり、ウェットティッシュなどを買いだめをするようになったというお話がありました。
そして、「忘れたくないことはありますか?」という質問に、ここまで復興するのに助けてくれた全国の人たちへの感謝の気持ちを忘れたくないと口にされたBさん。と同時に、記憶の風化や「わかりあえないと感じること」という話の流れで、水がなくて困ったことの切実さが、他の地域の人に伝わらないもどかしさにも言及されました。わかりあえないということでは、震災から何年か経った3月11日の東京を歩いていた際、黙祷をしている人がいなかった状況にも違和感を感じたと言います。東北では、原発事故もあって大変な目もしているのに、東京の人はいつも通り電気も使って、、となにかモヤモヤを感じたそうです。
それでも、「わかりあうためには何ができると思いますか?」という問いに、諦めないで言い続けることが重要なんだと続けるBさん。3月11日の前後だけでなく、月命日を大切にするとか、日々東北の沿岸部で起こっていることを全国的に伝えて欲しいという想いが出てきました。(後半につづく)
話し手:女性Bさん
聞き手:女性Aさん
このお話が録音された日:2019年3月13日
【わすれン!録音小屋とは】
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*この記事は、録音されたお話をわすれン!スタッフが編集したものです。